SAGA DX リーダーズ事例有限会社菓心まるいち- まずは、菓心まるいち様の企業概要を教えてください 有限会社菓心まるいち(本社:佐賀県佐賀市)は、佐賀県で3店舗展開している和菓子屋です。創業当初からお餅とあんこを中心とした和菓子を提供し続け、年間200種類以上の商品を販売しています。最近では、事業承継のタイミングを迎え、新たなテーマとして「あんこの可能性を追求する!」を掲げました。性を追求する!」を掲げました。従来の和菓子としての活用に加え、あんこに関わることが少なかった方でも楽しんでいただけるような関わり方を模索する取り組みを始めています。-SAGA DXリーダーズのイベントに参加したきっかけを教えてください2024年9月に事業承継を完了しましたが、その計画は2年前から県の支援を受けつつ進めていました。社長は和菓子職人として、新しいお菓子作りや安心安全なお菓子作りの品質管理に注力する一方で、マーケティング、販路拡大、DX推進といった業務を担うのが副社長の役割です。特に現場でお客様の声を拾いながら、当社の未来を築くことを大切にしてきました。SAGA DXリーダーズイベントに参加したのは、デジタル活用をさらに進め、生産性の向上やお客様とより有意義なコミュニケーションをとれる和菓子屋になりたいと思い、学びの機会としてイベントに参加しました。(写真:代表取締役社長 市丸 剛 様)-参加当時はどのような課題感をお持ちでしたか?どの業種でも共通する課題だと思いますが、私たちも生産性向上を重要なテーマとして認識しています。特に、実店舗で得られる情報をいかに見える資産とし、製造や販売の両面に活かしていくかが大きな鍵になると考えていました。昨年3月から一般販売をスタートした飲めるあんこ「餡MMu(あんむー)」をこれまで、多くの方にお試しいただきながら、商品の価値や魅力をどのように伝えていくべきか、試行錯誤を重ねてきました。販売を進める中で、想定しなかった顧客層からの反響もあり、新たなニーズに気づく機会も増えています。現在は、販売戦略をさらにブラッシュアップする段階でもあり、最適な販売チャネルを模索しています。そのためにもどの販売チャネルが最適なのかを検討する上で、佐賀県内・県外の先進的な取り組み企業さんの情報を取り入れたいと考えていました。-課題解決につながる出会いやインプットは得られましたか?SAGA DXリーダーズでは様々なイベントに参加しましたが、特に印象的だったのは「事業承継時のドン底状態からV字回復を果たした豆腐屋のビジネスモデル転換と経営の考え方を学ぶ会」でした。この会で紹介された佐嘉平川屋の事例は、まさに私たちが目指す方向性と重なっていました。豆腐を単なる食品として販売するのではなく、カフェやスイーツとして提供し、直販・卸のバランスを工夫しながら販路を広げていた点が非常に参考になりました。特に学びが大きかったのは、大量生産・大量販売ではなく、少量生産でも高付加価値をつけて提供することの重要性を改めて認識したことです。商品の価値を伝えるために店舗・EC・卸など各チャネルの役割を明確にし、それを軸に戦略を組み立てる考え方も大きな示唆を得ました。-インプットを踏まえた自社の落とし込みはどのようなことを行いましたか?この学びを活かし、新商品「餡MMu(あんむー)」の販売チャネルの役割を再度見直しました。当初は卸売りを中心に考えていましたが、佐嘉平川屋の事例や商品の特性を踏まえ、販売方法のバランスや役割を改めて検討することにしました。特に、店舗などでお客様に直接試食していただく機会を増やし、商品の魅力をより伝えやすくする工夫を進めています。また、「餡MMu(あんむー)」のスペックやこだわりだけでなく、さまざまな活用方法(パンに塗る、お湯で溶く、スムージーに混ぜる等)をご提案し、私たちだからこそ伝えられるメッセージを磨いています。卸販売も引き続き重要なチャネルとして活用しつつ、それぞれの強みを活かした販売戦略を構築し、より多くのお客様に「餡MMu(あんむー)」の魅力をお届けできるよう取り組んでいます。- 実践に落とし込むための分科会への参加はいかがでしたか?事業承継者の集まる分科会に参加することで、異業種の経営者と意見交換を行い、新たな視点を得ることができました。分科会では、単なる情報共有にとどまらず、参加者同士が自社の課題について議論し、具体的な解決策を模索する場となっています。学びを得るだけでなく、実際に自社での実践につなげるためのアウトプットの場としても活用できました。インプットの機会は多いものの、アウトプットする場が意外と少ないと感じていたため、実際に考えたことを共有し、他の参加者と意見を交わすことで、具体的な施策につなげやすくなったと感じています。- 今後の展望について教えてくださいこれからの展開としてブランド価値のさらなる向上を目指し、商品のおいしさはもちろん、商品の提供方法や販売戦略を進化させていきます。実店舗とECの強み・弱みを理解しながら、両チャネルでお客さんに楽しんでいただける環境づくりを目標としています。リアル店舗の強みを生かしつつ、新たな販路の開拓にも力を入れ、より多くの人に当社の魅力を伝えていくことに注力します。また、あんこの新たな可能性を探るプロジェクトを推進し、和菓子の枠を超えた商品開発に取り組みます。異業種とのコラボレーションを進めることで、新たな食文化を創出し、これまで和菓子やあんこに積極的に触れる機会が無かった方にも楽しんでいただける和菓子屋となれるよう展開していきます。事例企業:有限会社菓心まるいち本店住所:〒849-0938 佐賀県佐賀市鍋島町鍋島1224-7事業内容:自社製造の餡子とお餅を中心とした和菓子の製造販売取材にご協力いただいた方:有限会社菓心まるいち 副社長 市丸 翔大 様