「生成AIを使えば業務が楽になるのでは」—— そう思いながらも、何から手をつければいいか分からない。採用支援事業を展開する株式会社ヒトコトLabも、そんな状態から取り組みが始まりました。約半年間にわたるBottoKの支援を通じて、AIツールの導入だけでなくデジタルを活用した業務の仕組み化にも取り組み、サービス品質の向上を実感。「効率化だけでなく、質が上がった」と語る吉尾様に、その経緯と変化について伺いました。社名:株式会社ヒトコトLab(Webサイトはこちら) 業種:採用支援事業 従業員数:約10名(2026年2月現在) 課題:業務改善都道府県:福岡県 取材にご協力いただいた方:株式会社ヒトコトLab 執行役員 吉尾 美咲 様お客様の「人事担当」として取り組む採用支援ー 企業概要について教えてくださいヒトコトLabは2023年9月の創業で、福岡を拠点に採用支援事業を展開しています。企業の人事担当として入り込み、ともに採用活動を進めていく、そんなイメージが一番近いかもしれません。具体的には、求人原稿の作成から媒体への掲載など、採用活動の実務を中心に支援しています。面接対応や研修設計なども本来の事業領域ですが、まずは採用支援から段階的に取り組んでいます。一般的には「採用代行」と表現されることもありますが、弊社では単なる代行ではなく、お客様の会社の魅力や想いを丁寧に引き出しながら、言葉の力で求人を変えていく支援だと考えています。社内では初回研修の際に、「お客様の人事担当になったつもりで取り組んでください」と伝えています。本当に困っていることを理解し、企業が求めている人材に届く表現で求人原稿を作り出す、これが私たちの強みです。ー 吉尾様は創業当初から参画されているとのこと。どのような役割を担っているのでしょうか?主に組織づくりを担当しています。サービスの品質を安定させるために、再現性のある仕組みをつくることなどに取り組んでいます。例えば、契約後のお客様対応の流れ全体を整備したり、ヒアリング内容や進め方など、業務の型をつくっています。スタートアップ企業なので、正直に言えば試行錯誤しながらですが、一つひとつ形にして体制を整えています。個人の力量で仕事が回る、それが課題ー 当時、どのような課題がありましたか?スタートアップ企業ゆえ様々な面で整備がされておらず、まさに「課題しかない」という状況でした。当時いちばん大きかったのは、採用支援のノウハウが代表個人に集中していたことです。代表の箱島が立ち上げた事業ということもあり、それは自然な成り行きでもありました。また、優秀なスタッフが個々の力で対応できてしまっていたこともあり、本来必要だった研修や業務設計が後回しになっていました。その結果、担当者個人の力量に頼る形で支援が進み、ヒアリング内容の管理方法や資料の置き場所も担当者ごとに異なる状態でした。個々のスキル向上は大切ですが、それだけでは再現性が低く、組織として安定した成果につながりません。「応募があった」「採用に至った」といった結果が出せても、本当に企業が求めている人材の獲得や定着まで実現できているかというと、まだ十分とは言えない状況でした。始まりは「生成AIで業務改善できないか?」ー 支援導入のきっかけを教えてください業務改善の必要性を強く感じていた中で、単に人を増やして人手不足を補うのではなく、AIを活用して組織の土台を整え、質が高く再現性のある支援を提供できる組織をつくりたいと考えていました。ちょうどその頃、弊社とBottoKの代表同士が知り合いだったことがきっかけで支援の話が進みました。営業提案というより、ご縁の中で自然に進んだ形ですね。こうしたつながりを大切にするのも、ヒトコトLabのスタンスの一つです。ChatGPTを使い始めた時期でもあり、マニュアル整備や業務の体制づくりに活用できる可能性を感じていたものの、具体的に何をどう進めればいいのかが分かりませんでした。このタイミングでBottoKに支援をお願いすることになり、課題を共に整理し、必要なツールの検討や導入など、業務改善を進めていただけると期待していました。属人化の解消・業務効率化へ向けた取り組みー 具体的にはどのような支援を受けましたか?まず取り組んだのは、運用フォルダの整備です。また、ヒアリングから求人掲載に至るまでの業務フローも整理し、誰もが同じ品質でタスクを進められる管理フォーマットを構築していただきました。これまで個人の裁量に任されていたヒアリング項目をシートで統一し、案件ごとに必要な資料を1セットで管理できる運用ルールを策定。さらに、全プロジェクトの進行状況を一元管理できるマスターシートを導入したことで、管理側が「誰が・どのタスクを・どこまで進めているか」を一目で把握できるようになり、タスクの抜け漏れも防げるようになりました。こうした仕組みづくりは、一度で完成させるのではなく、月1回の打ち合わせで方向性をすり合わせながら進めていきました。型となるフォーマットを提案していただき、現場で実際に使いながら不具合を修正し、組織にフィットする運用へと少しずつ固めていく形です。ー 独自AI『はこさん』について教えてください代表の経験とノウハウをそのままAIに移植した自社専用ツールです。これまで、「思いが伝わる・欲しい人材に届く求人原稿」は、代表の言葉を想像したり、各担当者が工夫を重ねたりしながら作成しており、多くの時間を要していました。そこで、代表の中に蓄積された知見を言語化した上でシステムに集約し、AIが代表のようにアイデア出しの壁打ち相手となる独自のAI「はこさん」を構築してもらいました。既成のツールを入れるのではなく、自社のノウハウを言語化し、AIという形で現場に取り入れることによって、属人化の解消と求人作成のスピードアップにつながっています。 ー 新しいツールへの移行作業は、大変でしたか?そもそも情報管理の体制が整備されていなかったので、どのみち一度は改修が必要な状態でした。そう考えると、「より良いものに整理し直す作業」として前向きに捉えることができました。実際の移行は、私と現場のチーフ、支援担当の方の三者で打ち合わせを重ね、役割分担をしながら進めました。現場の声を反映しながら進めたことで、新しい運用への理解も深まり、スムーズに定着することができました。現場も巻き込む伴走支援、「ともに構築」するスタイルー 支援開始当初、少し戸惑いがあったと伺いました。代表同士による話をもとに進んでいたこともあり、私自身が考えていた方向性とは少しズレを感じていました。初回の打ち合わせでは、AIの一般的な解説や勉強会の案内が中心でした。最初に感じたのは、「あれ、少しイメージと違うかもしれない」という違和感です。実際にスタートしてみて、私たちが求めている支援がどのようなものかに気づいたのですが、本当に必要だったのは課題を解決するために何をすべきか、AI活用も含めて模索し検討することでした。それに気付きすぐにお伝えしたところ、柔軟に対応してくれました。こちらの要望が明確でないまま依頼していたこともあり申し訳なく思う一方で、非常に快く組織のことを思い、方向転換してくれたことは、とても嬉しかったです。ー 支援の進め方で印象に残っていることは?2025年7月から12月末までの約半年間、BottoKから2名、ヒトコトLabからは私と現場のチーフの2名、計4名の体制で進めました。私自身は現場に出ていないため、実際に業務を回しているチーフに入ってもらったことで、現場の実情を踏まえた基盤ができたと思います。印象的だったのは、私たちの理解度に徹底的に合わせてくれたことです。技術的な内容を理解する一歩手前の「そもそもどういう意味だろう?」という場面が多かったのですが、その都度、噛み砕いて説明してもらえました。また、ツールを導入するだけでなく、業務の進め方そのものを一緒に考えてくれました。フォルダの整理方法、タスク管理の運用、求人管理表の構成など、現場の状況を共有しながら一つひとつ検討していきました。特に心強かったのは、「なぜこの課題が起きているのか」という根本まで掘り下げてくれたことです。単に「このツールを使えば解決します」ではなく、例えるなら症状を見極めて適切な処方を考える"お医者さん"のような存在でした。定例の打ち合わせは月1回程度でしたが、その間もチャットツールで随時やり取りができ、質問や疑問などその都度ご相談ができる環境でした。支援を受ける側としてもデータ整理や情報提供が必要で、準備が遅れることもありましたが、柔軟に対応していただけたことで安心して進められました。効率化、質の向上、そして自走できる組織へー 導入後、どのような変化がありましたか?業務効率化で生まれた時間を、体制や運用の見直しなど、課題整理や業務改善に充てられるようになりました。代表の時間の使い方にも変化がありました。個別案件の相談から、お客様への提案内容や方向性など、本質的な議論に時間を使えるようになっています。全体を通して感じるのは、「効率化できた」というより「サービスの質が上がった」という感覚です。お客様との対話や提案づくりなど、人にしかできない部分により多くの時間をかけられるようになりました。ー 現場の業務も変わりましたか?求人タイトルの変更・更新作業では、AIから複数の候補を出してもらい、担当者が検証・組み合わせをしながら最適な表現を作っています。作業時間が軽減され、これまで5社ほどが現実的な対応数だったとすれば、7〜8社まで広がる可能性が見えてきました。求人原稿作成も1時間から30分ほどに短縮。AIはあくまでサポート役で、担当者それぞれが工夫を重ねながら仕上げています。ー 組織や事業への影響はいかがですか?支援を通じて仕組みが整い、「何が問題か」「どうしたらもっと良くなるか」を自分たちで考えられる段階に入ってきました。一人ひとりが改善を考えながら取り組む姿勢が生まれています。また、各担当者がその都度収集していた情報を、AIを活用しながら会社の資産として蓄積する動きも始まりました。契約更新やご紹介での件数も増加。業務改善が、サービスの質向上、顧客満足、事業成長へとつながる流れを実感しています。今回の支援は、単なるAI活用ではなく、業務の進め方や体制そのものを見直す取り組みでした。生成AIは使い始めた。でも、その先が分からない方へー どのような企業におすすめできそうですか?「AIを何に使えばいいか分からない」「課題をどう整理したらいいか分からない」といった悩みを抱えている企業は、少なくないと思います。AIツールは世の中に多くありますが、自社の課題に対して何から取り組めばいいのかを判断するのは簡単ではありません。実際には業務整理や環境づくりから段階的に始めた方が、結果的に近道だったりします。課題を共に整理しながら進めてくれる、そんな支援を求めている企業におすすめだと思います。AIの活用を、業務改善のその先へー 今後の展望を教えてください今回の支援をきっかけに、AIを業務改善だけでなく、事業のさまざまな場面で活用できる可能性が見えてきました。個人的に今取り組んでいるのは、AIを活用したスタッフ一人ひとりの『診断シート』づくりです。強みや価値観、コミュニケーションの取り方などを整理し、それぞれの特性に合った接し方や能力の伸ばし方を見つけていくものです。根本にあるのは、人を増やすのではなく、今いるメンバーの力を最大化したいという思いです。会社としては、将来的に採用だけでなく研修や定着支援も含めて企業の人事機能を支える、いわば「外部のプロの人事部」のような存在を目指しています。一人ひとりの能力を高めながら、専門的な伴走支援ができる組織を実現していきたいです。※掲載内容は取材当時のものです。