SAGA DX リーダーズ事例株式会社まるきん- まずは、まるきん様の企業概要を教えてください株式会社まるきん(本社:佐賀県伊万里市)は、釣り用品の製造から販売までを一貫して手がけるユニークな企業です。世界でも特異なスタイルを持ち、独自の製品開発を強みとしています。販売部門では、北海道から沖縄まで全国の大型商社に向けて商品を提供しており、平成5年度からは韓国や台湾をはじめとする海外市場への輸出も積極的に展開し、さらなる販路拡大に取り組んでいます。製造部門では、最先端の精密機器を導入し、製品用金型成形や自動機械の研究開発を自社内で実施。「良い商品をより安く」をモットーに、全従業員が一丸となって最新技術を取り入れながら、製造プロセスの見直しを進めています。-SAGA DXリーダーズのイベントに参加したきっかけを教えてください釣具業界は時代の変化とともに大きく変わりつつあります。コロナ禍では一時的に釣りブームが起こりましたが、現在はその熱も落ち着き、売上の伸びも鈍化しています。こうした状況の中で、売上向上につながる新たな視点を得る必要性を感じていました。もともと、県内には中小企業のDX推進を支援する団体やセミナーが多く、そうした勉強会には以前から積極的に参加していました。特に、バックオフィス系のセミナーに参加する機会が多く、ペーパーレス化や、コロナ前からの他拠点をつないだオンライン会議の導入など、アナログ業務のデジタル化には早くから取り組んでいました。一方で、DXの導入が進んでいたのは主にバックオフィス領域であり、売上向上に直結する取り組みについては課題を感じていました。これまで当社の販売はBtoCが中心でしたが、店舗販売だけでなく、ECや新たなビジネスモデルの強化も必要だと考えていました。また、社内の業務効率化やデータ活用にも、さらなる改善の余地があると感じていました。このような状況の中で、BottoK社からイベントの案内を受け、店舗や卸売における売上向上のヒントを得るために「【忙しい経営者向け】1時間で理解できる!今さら聞けない生成AIの基本と実務での活用」と「【地方発、成功の方程式!】ゑびやが実現した売上12倍の挑戦 〜地方企業が全国的成功を収めるための実践的ヒント〜」に参加しました。(写真:第5回 SAGA DX リーダーズイベントの様子)-参加当時はどのような課題感をお持ちでしたか?店舗運営や卸売を行う中で、常に「どうすれば更に受注を獲得できるか、どの様にすれば効率的な業務プロセスに変える事が出来るか?」という課題に向き合っていました。BtoCとBtoBの両方に対応し、一定の顧客は確保できていましたが、「このまま同じ方法を続けていていいのか?」と悩んでいました。市場の変化が激しい中で、現状維持が正解なのか、それとも新しい取り組みをすべきなのかを模索していたのです。特に、店舗では「どうすればもっと来店客を増やせるのか」「どんなお客様が来ているのか」をデータでしっかり把握し、予測を立てられる状態にしたいと考えていました。また、「何をどう売ればいいのか」「この時期に売れる商品は何か」を事前に予測できれば、現在4〜5ヶ月分抱えている在庫を1ヶ月でも短縮できるはずだと感じていました。データは揃っていたものの、「どこから手をつければいいのか」がわからない。これまで経験や勘に頼っていた部分を、もっと誰でも再現できる仕組みに変えたいと考えていましたが、その方法を見つけるのが難しい状況でした。-自社でどのような取り組みを実施されたのでしょうか?そんな中、生成AIの勉強会に参加した際に「NotebookLM」というツールを知りました。 NotebookLMは、自社のデータをクローズドな環境で管理しながら、検索をかけると純度の高い情報の中から答えを返してくれる仕組みになっています。これなら、受注を広げるための新しいアプローチができるかもしれないと感じ、導入を検討し始めました。特に、釣り場に関する情報は紙媒体で残っているケースが多く、必要な情報を探すのに時間がかかることが課題でした。 そこで、紙の本をテキスト化し、NotebookLMに釣り場の情報や読者にとって有益なデータを蓄積し、必要な情報を素早く検索できるようにすることで、よりスムーズに顧客へ価値を提供できるのではないかと考えています。顧客が求める情報に瞬時にアクセスできることで、体験価値の向上にもつながると感じています。また、社内でも生成AIの活用を推進するため、店長メンバーを対象にChatGPTの活用勉強会を実施しました。 ほとんどのメンバーがChatGPTに触れたことがなかったため、まずは「ChatGPTとは何か?」から学び、業務で活用できそうなポイントを洗い出しました。すると、SNS運用、イベント企画、店内放送など、さまざまな活用アイデアが生まれ、ChatGPTの可能性を改めて実感しました。 今後は、社内でのChatGPT活用をさらに推進し、業務の効率化や新しいアイデアの創出につなげていきたいと考えています。(写真:社内の生成AI勉強会の様子)-過去参加してきたイベントと比較した際にどんな違いがあると感じましたか?ベンダー主催のイベントも非常に役立つものが多いと感じています。 特定の課題に対して、製品を使ってどのように解決できるのかを具体的に学べるため、「このツールを導入すれば、こんな活用ができる」というイメージがしやすく、実務レベルでのヒントを得られる点が魅力でした。一方で、SAGA DXリーダーズは、経営者が抱える課題の幅広さに対応できる場だと感じました。 企業経営の中では、「正解が決まっていない課題」や「抽象度が高く、解決の方向性が見えにくい悩み」に直面することが多くあります。そうした未知の領域に対して、新しい着想を得られる貴重な機会だったと感じています。- 今後の展望について教えてください地方営業では車での移動が多く、この移動時間を有効活用できないかを模索しています。特に、営業日報の作成や事前の顧客情報のインプットを移動中に効率よく行う仕組みを導入できれば、営業担当者の負担を軽減しつつ、生産性の向上につながるのではないかと考えています。よりスムーズな営業活動ができる環境を整えていきたいです。また、受注を増やしていくために、社内に蓄積されているデータをさらに活用し、データ分析に基づいた戦略を強化したいと考えています。特に、釣り人がより快適に釣りを楽しめる体験の提供に注力するため、データを活用してニーズを的確に捉えたサービスを展開していきたいと考えています。事例企業:株式会社まるきん本店住所:〒848-0035佐賀県伊万里市二里町大里乙3-24事業内容:釣り・アウトドア用品の販売、小売。釣り用ウキ、ルアー、小物、アパレル用品の開発取材にご協力いただいた方:株式会社まるきん 代表取締役 草野 剛 様