ChatGPTセミナーを通じて感じた、知的好奇心の欠如早速ですが、当社では「人事領域でのChatGPT活用の仕方」セミナーを実施しており、様々な場で講演依頼をいただくことがございます。(こんな様子でChatGPTを皆で触ってみて活用用途を模索しています)旬なテーマということもあり、どの開催でも連日満員です。参加者は意識が高い人が多く、皆さん前のめりに内容を聞いていただいています。その中で、毎回と言っていいほど必ずされる質問があります。参加者:「ChatGPTの活用について、まずは何から始めたら良いのでしょうか?」この質問に、私は毎回決まったフレーズで返答します。私:「まず何でも良いので触ってみましょう」この返答をすると、参加者は腑に落ちていない表情をされることが多く、参加者:「何でもって本当に何でも良いんでしょうか?」参加者:「とは言っても最初に意識することって何かありますよね?」などの追加質問をいただきます。そこで私は本当に”何でも良い”を証明するために過去に指示を出してみた些細な質問内容を参加者に見せています。こんなカレーの作り方であったり(実際にカレーは作っていない)母親に運動させるコツ等、身の回りの関心毎をひたすら入力している様子を見せています。ここまで見せると、参加者:「ChatGPTって何でも質問していいって知らなかったです」参加者:「ChatGPTに慣れるために一番の近道は、取り敢えず身近なことから質問しまくるという視点が目から鱗でした」などと言った、ChatGPTという未知なる対象への恐怖感が取り除けたことに対する感謝コメントをいただきます。こちらは単に取り敢えず触ってみた報告をしているだけです。国際成人力調査からみる、日本人の知的好奇心の欠如少し話は逸れますが、現在(2023.11)より10年程前、OECDに加盟する先進国を対象とした「国際成人力調査」と言うものが実施されています。国際成人力調査の概要については以下の通りです。国際成人力調査(PIACC:Programme for the International Assessment of Adult Competencies)とは、経済のグローバル化や知識基盤社会への移行に伴い、OECDに加盟する先進国では、 雇用を確保し経済成長を促すため、国民のスキルを高める必要があるとの認識が広まっています。このような中、OECDでは、加盟24ヵ国・地域の16歳~65歳までの男女個人を対象として、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」及び調査対象者の背景(年齢、性別、学歴、職歴など)について調査したもの気になる結果について、我が国日本は「読解力」「数学的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3つの調査いずれにおいても最も平均点が高い、という点が報道されました。当時は「日本凄い!まだまだやれる!」的な風潮をメディアが調査結果と共に醸し出し、取り扱いは徐々に無くなっていった記憶があります。実はこの話には続きがあり、その翌年国立教育政策研究所の小桐間徳氏が「国際成人力調査が示す日本及び諸外国の社会的アウトカムの特徴」という論文を発表されています。その中で、知的好奇心の項目についての国際比較のデータがあり、結果は下記の通りです。なんと23カ国中、22位という結果です。「読解力」「数学的思考力」「ITを活用した問題解決能力」が最も平均点が高いと言う事実と比較し、日本人の「知的好奇心」が如何に低いのかが分かります。※※冒頭の知的好奇心の話に戻ります。私からすると、ChatGPTなんて単なる知的好奇心の積み上げでしかなく、誰からか方法論を叩き込まれて活用したものでは一切ないが、方法論を知らないと動けない人もいる。「知的好奇心からとりあえず触ってみる」この行動が如何にマイノリティであるかを最近感じています。知的好奇心を分解してみたこの知的好奇心の正体が何なのか?気になったので今回の自分の行動から振り返りました。以下、ChatGPTを触ってみた変遷です。初めてログイン。取り敢えず最初は触りまくった。次に身近な質問を投げかけ、自分の要望に応えているかを判定してみた。 ・母親に運動させるコツを教えてください・・自己満足度×・美味しいカレーの作り方を教えて・・自己満足度×・甥っ子の通知表の生成を入力し、成績の判定をしてもらう・・・・自己満足度○上記を通じて見えてきた仮説をまとめてみた。仮説①:入力する情報量によって、回答の具体性も違うんじゃ?仮説②:追加質問をすると、徐々に回答に求める回答が出てくるのでは?仮説①、仮説②を検証するために更に質問を投げかけてみた。質問を投げかけ続けた結果、以下の検証と新たな仮説が見つかった。仮説①:入力する情報量によって、回答の具体性も違うんじゃ?検証結果:確かに入力する情報量によって回答の精度が変わっていた新たな仮説:また、入力する情報の一言一句で出てくる回答が変わっていた?仮説②:追加質問をすると、徐々に求める回答が出てくるのでは?検証結果:連続した質問を投げ掛けより求める回答に近づいた。新たな仮説:追加質問の投げ掛け方が違うと、答えも違ってくるのでは?新たな仮説の検証、以下連続結局正体って仮説検証のループなのでは?先ほどの自分の状況を図解してみました。図解化して気づいたことですが、結局知的好奇心の正体って仮説検証のプロセスそのものであり、検証結果が成立したら嬉しく、更に新たな仮説を作り検証するという好循環ループに入り、検証結果が不成立でも原因仮説を考え、新たな仮説を作り検証するという循環に入っていっています。それらの積み上げの結果、検証成立された事象が「知識」として定着しており、この「知識」を私はセミナー等で提供しています。このループの焦点は仮説検証だということに気がつきました。ともすると、タイトル回収になりますが「知的好奇心の源は仮説検証力は真理」だと現時点では思っています。仮説検証力を高めることはChatGPTなどの最新ツールを使う障壁を無くす特効薬になるのではと考えています。仮説検証力の高め方では仮説検証力をどう高めていくのか?各論の仮説検証力の高め方については別途記事でまた書きたいと思いますので、ここではすぐできるオススメの仮説検証力のトレーニング方法をご紹介いたします。それは「日常にあり触れる事象に対し遊び感覚で仮説を立てまくる」ことです。例えば、某回転寿司チェーン店にいくと各テーブルにお皿を5枚投入するとガチャガチャが1回できる機能があったりします。(ここまで書くと大体分かるかと思いますが...笑)ここで「なぜガチャガチャが設置されているのか」の理由を色々と考えてみます。仮説1:ガチャガチャは子供が喜ぶので、ファミリー層の集客に一役買っているのでは?仮説2:5枚入れると1回ガチャガチャが引けるので、単価アップに一役買っているのでは?仮説3:テーブル上にお皿を積み上げたくない女性心理を加味したシステムなのでは?このような調子で、仮説を次々に立ててみます。個人的な見解ですが、良い仮説を立てることが出来ると検証欲が湧いてきます。(ダメな仮説は検証欲は湧きません)検証欲は1次情報を取りに行ったり、ネットで検索を掛けたりして解消します。このサイクルを回し続けると、先述の仮説検証ループが自然発生し様々な事象での知識定着が見込めます。※※当社では現在この仮説検証力を高めるトレーニングを開発中です。今回の仮説検証力をはじめ「考える力」全般を如何に高めるのかを追求したトレーニングです。ご興味がある方は是非お声がけください。